「ショーンがドラマ絶対に出たくないって言ってるんだよ。困ったなあ」
夏休みも終わりが近づいてきた頃、鳴川さんが言った。
「どうしてですか? ショーンって演技はできないんですか?」
「そんなことないよ。昔はけっこうドラマや舞台に出てたっていうし」
わたしの疑問に、拓斗が答えた。
「どうも出演者に文句があるらしいんだけど」
「え? まさかまだ拓斗と共演NGなんて言ってるんですか?」
「そういうわけでもないみたいなんだけど」
なんだかハッキリしない。
「でもさあ鳴川さん、たった1回ドラマにゲスト出演したくらいでそんなにショーンの好感度が回復すんの?」
「好感度が上がるというよりも、今回の件は話題性がすごいんだ。ドサクサで好感度もきっと上がる」
ニヤッとする鳴川さんの説明に、わたしも拓斗も理澄くんも、同じ〝よくわからない〟という顔をした。
「ショーンとケンカした俺や果音が一緒に出るから? 同じ事務所の後輩と一緒のドラマに出るくらいでそんなに話題になんの?」
拓斗の言葉に、鳴川さんはまたニヤッとあやしい笑みを浮かべる。
「君たちの世代にはわからないかもしれないけど、すごいことなんだよ。なんてったって、レオくんがOKしてくれたんだから」
ますますよくわからない。
「とにかく! なんとしてもショーンを説得しないと、ショーンの稼ぎが無くなるのは事務所にも大ダメージだ」