今は子育てで忙しい、美冬と賢人くんなら、オシャレな居酒屋をいくつか知っているかと思い至った。

私自身、あまり外食はしないので、オシャレなお店など一つも知らない。

おそるおそる聞いてみたら教えてくれたのがこのお店だったのだ。

さすが、世の中の流行に常にアンテナを張っているアナウンサーとカメラマンだ。

早く誰か来てほしい。
こんなの、何だかデートみたいじゃん。

後輩の親太朗は私の隣に座り、いろいろと話題を振ってくれる。

そのうち、上司や後輩が続々と店にやってきた。

「若いねぇ、幹事2人が歓迎会に先駆けてデートとは」

「羨ましいっす!
俺も美川先輩とデートしたいっすよ」

「美川先輩、途中まででもいいんで一緒に帰りましょうよ!」

「ダメです。
華恋先輩は、俺と一緒に帰る約束してるんですから。
家の方向、途中までは同じですし。

ですよね?華恋先輩」

露骨に残念そうな顔をした新入社員の後輩くんを横目に、歓迎会は乾杯とともに幕を開けた。

お酒が入って、なかなかカオスな会になってきた。

ある時は、同期の女子の、マッチングアプリでいい男に巡り会えない愚痴を聞いたり。

またある時は、上司の若いねぇ、昔は……なんて話を適当に聞き流したり。

後輩の恋愛相談にそれなりなアドバイスを送ったり。

美味しい料理を皆で囲んでいると、もうあっという間にお開きの時間だ。