話しているうちに、お店に到着した。

地下にある、生ハムがウリのオシャレな居酒屋だ。

店に入る前に繋がれていた手が離れたのを、ほんの少し名残惜しいと思ってしまった。

苦手なタイプではない。

どうも、母校が同じな後輩を、恋愛対象としてすぐには見れない。

それに、人懐っこいところがどうにも、私が高校の頃に亡くした弟とモロに被る。

どうやら運動部ではあったようで、それなりに身体は鍛えてあるらしい。

そこも似ているのだ。

後輩を自分の弟と重ねて見ているだなんて。

高校の頃に親友につけられた異名『恋愛のカリスマ』の名が泣くだろう。

どこかで関係を進展させるか、ちょっと仲の良い後輩のままでいるか。

いい加減、自分の気持ちをハッキリさせなければ。

「華恋先輩。

あとは
皆を待つだけですね。

料理も美味しそうですし、よくこんなお店見つけましたよね。

さすが華恋先輩です」

素直に褒められると、悪い気はしなかった。