みんなは私の潤んだ目と赤いハナから

察してくれて何も聞かないでいてくれた。

私はみんなのこんな所も大好きだった。

「それにしても鈴、ほんとに行くのかあ」

みんなが残念そうに言う。

「うん、でも夏にはまた帰るよ!」

「ぜったいだよ?わすれんなよ?」

私が住んでいる所はなかなかの田舎。

今日卒業したこの高校では

大半が地元で就職をする。

そんななか私は東京への進学を

選んだ。私には夢があった。

「鈴?淋しくなったら帰ってきてよね!」

みんなが寄ってきて私に話し掛ける。

私は涙をこらえるのに必死だった。

「出発、いつだっけ?」

担任の先生が聞いてきた。

「明後日の始発で行きます。」

私はしっかりと涙も流さずに

答えた。私は夢を叶に行くんだ。

悲しいことなんてまったくない。

そういいきかせながら。