(草薙くんってずっと勉強ばっかりしてるんだと思ってた。こんなにもたくさん話題の引き出しがあるんだ)

練が話題を出すたびに、日向は彼を目で追ってしまう。今まで知らなかった練のことを知るたびに、日向は反応してしまうのだ。

「なあなあ、次あれ乗ろうぜ〜!」

友達がジェットコースターを指差す。日向は固まってしまった。絶叫系はあまり得意ではないのである。しかしそんなことを言い出せる空気ではなく、アトラクションに乗るためのペアをくじ引きで決めることになった。

「よろしく、初音」

「う、うん。草薙くんよろしくね」

日向のペアは練になった。ジェットコースターの座席に隣り合って座る。安全バーが降ろされ、日向はバーをグッと強く掴んだ。緊張で心臓が音を立てる。冷や汗が吹き出していった。

「……ひょっとして絶叫系苦手なのか?」

日向の表情で察したのか練が訊ねる。日向は無言で頷いたものの、ジェットコースターはゆっくりと動き出していた。もうあと少しでジェットコースターはスピードを上げて走り出す。