「カナデくん、予選、出られることになった!」

さっき階段でうずくまっていた石像のような暗い叶居逢花ではなく、いつもの明るい表情が戻っていた。

「よかった」
「うん、さっきは話、きいてくれてありがとうね」
「あ、うん」

叶居さんがまた僕に手を振って、昇降口を出ていく背中を見送った。


僕の青春タイムリミットが、ほんの少しだけ延びたみたいだ。