「だったら一年を入れるから今抜けてって顧問に言われちゃって」
「悔しいね」
「ん。悔しいのかな。わかんないけど、とにかく突然すぎて今まで頑張ってきたことが無駄になっちゃったのがなんかね、嫌だなって」
「新しい学校でまたやるとか」
「吹部、ないんだって」
「そうなんだ」

僕なりに頑張ったラリーも、ここで僕が落としてしまった。僕はまた沈黙の時間になってしまうのが怖くなって、部活に行かなきゃと嘘をついてしまった。

「あ、そうだよね。私もいかなきゃ。皆には私から話したいって顧問に言ってあるから。じゃあね」
「うん、じゃあ」

階段から立ち上がった叶居さんが制服のスカートの裾を手でパシンと払い、鞄を肩にかけて手を振った。

嘘をついてしまった手前、昇降口に真っ直ぐ向かう気になれなくて、僕も部活に行くテイで体育館へ向かった。頭痛も治まっていたから、静かに見学して帰ることに。

帰り際、昇降口で叶居さんに会った。