プログラムには『巨人の肩に乗って』と書いてあった。ニュートンが哲学者の言葉を借りて手紙に書いた有名な言葉だ。

今いる僕たちに並外れて優れた何かがあるわけではなく、先人たちの積み上げてきたものの上に立たせてもらっているのであって、僕たちはさしずめその肩に乗る小人のようなものだと、膨大に積み上げられた叡智を巨人に例えて表したものだ。

僕はこの言葉が好きで、だからタイトルを見て興味を持ったのだけれど、のっけから物々しい始まり。どうやらこの巨人は簡単には肩に乗らせてはくれなさそうだ。
SF映画のような緊張の高まる始まりに、意識が音楽の中へと引きずり込まれた。
お前にその資格があるのかと突き放されて、なかなか乗せてくれなくて、どんどん置いて行かれて、暗い森の中で小人が巨人を見失って道に迷ってしまうような、そんな部分もあった。
それでも後半になると小人は一念発起して巨人を必死に追いかける。
巨人の心が小人に叫ぶ。