「あそうだ。あのね、こないだ言った楽しいことする話ね、引っ越すところの近くに海があるの。だから引っ越したらカナデくんが一番に遊びにきて、一緒に花火やらない?」
「えっ、花火?」
「どう? これで前向きになれそうな気がする!」
「わ、わかった。それで叶居さんが県大会頑張れるなら」
「決まり! 県大会も聴きに来てくれるよね!」
「それは絶対に行くよ」

叶居さんの瞳がきらきら輝いていた。
ポジティブに切り替えるのが上手くて、上手な慰めの言葉が見つからなかった僕はホッとした。同時に、胸の鼓動が早くなる。ただ遠くで見ていただけのときより、僕は叶居さんをもっと好きになっていると思う。心に恋が灼きついたまま、寝ても覚めても消えないんだ。