「やほ」

鉄の引戸に癒されながら先輩たちのプレイを眺めていたら、叶居さんが引戸の外側から声を掛けてきた。

「叶居さん、部活じゃないの?」
「夏休み前の楽器メンテなんだ。コンバス三台で三人だから順番に出すんだけど予備なくて。今は支部大会から乗る後輩が入ってやってるからバドミントン部ってどんなかなと思って見に来てみた」
「急でびっくりしたよ」
「えへへ、他の人の演奏を見るのも大事なんだけどね、見てたら県大会もこのメンバーでいいんじゃないかとか支部大会も弾きたいなってなっちゃって」
「そ。か」

確かにちょっと複雑で精神的ダメージがキツそうだ。僕はどういう顔で答えればいいか困って視線を逸らした。