開け放たれた体育館の四隅に配置されたサーキュレーターが低く唸っている。ジェットエンジンのようなゴツさだ。
けれど大きさの割には涼しくない上に、バドミントンは風の影響を受けやすいからシャトルのコントロールがしにくい。感染症対策や熱中症対策はバドミントンと相性が悪い。かといって他の部活と体育館を共有しているから、勝手に止めるわけにもいかない。

座っているだけで汗が滝のように流れてくる。
思い付きでほんの少しだけ移動して出入口の引戸に寄りかかる。鉄製の引戸は期待したほどには冷たくなかったけれど、思った通り僕の背中よりは温度が低かった。金属のひんやりとした硬さが心地いい。これは生き返る。

練習を眺めていると、分かることがある。部長は相変わらず上手い。他の選手は……正直言うと下手ではないけれど弱点が多いと感じる。
ラリーが長引くとアラが出てくる加藤先輩は、スタミナはあるのに集中力が保てないように見えるし、池田先輩は後方でレシーブした次をネット前に返されると、上げ切れずにネットに当ててしまうことが多い。
体勢の立て直しが間に合っていないんだと思う。他の先輩も――