叶居さんがここへ来るようになった理由はそういうことだったんだ。人間関係はやっぱり難しいんだな。
それにしたって僕が叶居さんと予定……。僕の脳内は嬉しさと気の毒さと自信のなさとがごっちゃになって、ぐるぐると回路が絡まって思考がまとまらない。

「ね、お願い!」
「……僕なんかでよければ」

断り切れず、つい、返事をしてしまった。

放課後、部活に行くと『インタイハイ』のスケジュールが告げられた。インターハイをもじった引退試合だ。全国進出ならずの我が部に何年も続く伝統で、全国大会と同じ日に三年生が下級生を相手にトーナメント試合を行う。下級生側の人数が多いため三年は体力勝負となるが、先輩としてのプライドをかけて挑戦者を待ち受ける構えだ。僕はこの通りやる気がないので昨年同様に初戦敗退して、のんびりベンチを温めようと思う。