「え…嘘でしょ…」

「ごめんね、みくる」


ママはいったい何言ってるの?

理解できないんだけど…


たった今、ママに信じられないことを言われた。


明日からママと一緒に暮らせない

明日からは知らない男の人と暮らさないといけない


そんなこと、信じられるわけないでしょ!


「ママを助けると思って、ね?お願い!」

「ママを助ける…?どういうこと?」


何か理由あるのはわかってたけど…


「ママね、仕事で大きなミスをしてしまったの」

「え!それって結構大変なんじゃ…」

「えぇ、そうなの。でも、助けてくれる人がいて」

「うん…そういうことなんだね」


なるほど。

要するに、ママのミスを助けた代わりに私を差し出せということね。


「ごめんね…」

「もういい。ママは私を守ってくれないんだね」


本心じゃない。

でも、信じられなくてつい勢いで言ってしまった。


言ってしまったんだから後悔したって遅い。

私はママの言葉を聞くのも顔を見るのも怖くなり、家を飛び出した。