せき払いする理央くん。


「僕もメイドモードは部活のときだけだよ。――で、ふたりともどうする? 勉強教えようか?」

「その言葉を待ってました!」

「理央くんは神さまだあ!」


 わたしたちは喜びの声を上げた。


「あたしの家でテスト対策しよう! あとで集合ね!」


 かのんの家に集まることにして、わたしたちは一度別れて、それぞれ家路についた。


「あっ……舞!」


 幼なじみ――舞の後ろ姿を見つけて、わたしは駆け寄った。


「桜子……」


 礼城女子学院の制服に身を包んだ舞がふり返った。


「久しぶりね、舞」

「うん……」


 家はお隣同士なのに、学校が離れたせいか、やはり顔を合わせる機会は激減していた。

 わたしたちふたり、並んで歩きだす。


「うちの学校、テスト期間で部活ないの。舞も?」

「そう。こっちも同じくテスト期間よ」

「そうなんだ。大変だよね、テスト……」

「そうね」


 会話が途切れてしまって、しら~っとした空気が流れる。

 わたしたちの心は、どうしようもないくらい離れてしまったんだ。

 だけど――。

 わたしはイヤだ! このまま疎遠になっていくなんて!

【お嬢さま道】を極めようとするなら、自分の心のままに行動しなきゃいけない。

 遠慮しない。空気は読まない。

 それが本物のお嬢さまなんだ!

 テストが終われば、またすぐ異世界交流の日――。

 ミレーヌに会える!

 そのとき、胸を張ってミレーヌと会うためにも、少しでも成長した自分を見せたい。