「あー、もうっ! 中間テストなんて、早く終われ―っ!」


 わたしは頭をかきむしって叫んだ。


「ホントだよ。部活できないし、超サイアク……」


 隣を歩いているかのんが肩を落とす。

 そんなわたしたちを見て、理央くんが苦笑いする。


「まあまあ、ふたりとも。ここを乗り切ったら、また思いきり部活できるじゃん」


 五月の最終週――。

 明後日から中間テストが始まる。

 部活も禁止され、わたしたち三人は珍しくいっしょに帰っていた。

 理央くんは今日もセーラー服を着ているけれど、もうからかってくるような子もいない。


「理央くんはいいよ。頭いいもん」


 ぎろりと、理央くんをにらみつけてやった。


「いや、まあ、そんなこともあるけどね……」


 頭をかく文武両道の理央くん。

 否定しないんかい!


「……ところで、桜子は最近、【お嬢さま言葉】話さないね。やめちゃったの?」


 かのんに聞かれて、わたしは首を横にふった。


「ううん。【お嬢さま言葉】を使うのは、『お嬢さま部』で活動するときだけにしたよ。もう修業期間は終わったというか、大体マスターしたしね。ごめんね、かのん。話し難かったでしょ?」

「うんにゃ、あたしは結構、面白かったけどなー。理央のことをメイドさん扱いしたりしてさあ」