「失礼します!」
旧校舎の四階――音楽室。
ノックしてから、やや乱暴に戸を開けた雪平先輩に手を引かれ、中に入るわたし。
「九条先輩!」
興奮を隠しきれないといったように雪平先輩が声を荒げる。
「な、何事ですか!?」
ぎょっとして目を見開いたのは、ソファに座って紅茶を飲んでいた九条先輩。
今日は黄色いドレスに身を包んでいる。
「雪平! 部室に入ってくるときは、執事モードでなければ困りますわ! いつも言ってあるでしょう?」
「いや、それどころじゃないッスよ! 大変なことが……」
「お黙りなさい!」
雪平先輩の言葉をさえぎって、ぴしゃりと叱りつける九条先輩。
「……というより、なぜ部外者を連れこんだのですか?」
じろりと、わたしを見やる九条先輩。
雪平先輩はようやくわたしの手を放して、必死に説明しようとする。
「だから大変なんですって! こいつは、あの御方を――」
ガラッ。
戸が開いて、制服姿の宝来先輩が入ってきた。
「失礼しま~す。ああ、雪平くん、裏門の花壇の水やり忘れたでしょ~? 代わりに、あたしがやっておいたわよ」
口をとがらせながら注意した宝来先輩の動きが止まった。
「ありゃ……? なんで部外者がいるの……?」
九条先輩が立ち上がって、ヒステリックに叫んだ。
「あなたたち! 部室に入ってくるときは、先に着替えてきなさい! お嬢さまと執事になりきりなさいな! たるんでますわよ!」
部室に、九条先輩のカミナリが落ちた。
旧校舎の四階――音楽室。
ノックしてから、やや乱暴に戸を開けた雪平先輩に手を引かれ、中に入るわたし。
「九条先輩!」
興奮を隠しきれないといったように雪平先輩が声を荒げる。
「な、何事ですか!?」
ぎょっとして目を見開いたのは、ソファに座って紅茶を飲んでいた九条先輩。
今日は黄色いドレスに身を包んでいる。
「雪平! 部室に入ってくるときは、執事モードでなければ困りますわ! いつも言ってあるでしょう?」
「いや、それどころじゃないッスよ! 大変なことが……」
「お黙りなさい!」
雪平先輩の言葉をさえぎって、ぴしゃりと叱りつける九条先輩。
「……というより、なぜ部外者を連れこんだのですか?」
じろりと、わたしを見やる九条先輩。
雪平先輩はようやくわたしの手を放して、必死に説明しようとする。
「だから大変なんですって! こいつは、あの御方を――」
ガラッ。
戸が開いて、制服姿の宝来先輩が入ってきた。
「失礼しま~す。ああ、雪平くん、裏門の花壇の水やり忘れたでしょ~? 代わりに、あたしがやっておいたわよ」
口をとがらせながら注意した宝来先輩の動きが止まった。
「ありゃ……? なんで部外者がいるの……?」
九条先輩が立ち上がって、ヒステリックに叫んだ。
「あなたたち! 部室に入ってくるときは、先に着替えてきなさい! お嬢さまと執事になりきりなさいな! たるんでますわよ!」
部室に、九条先輩のカミナリが落ちた。