「すごいお金持ちのスポンサーがいるんじゃない? OGの親が金持ちとか……」

「なるほど!」

「お金が集まる部は、学校も優遇するしかないってところじゃないかな」


 一瞬、理央くんの推理にうなったけれど、穴を見つけてしまった。


「ああ、でも、そんな本物のお嬢さまは、うちじゃなくて、礼城女子学院に行くと思う」

「あっ、それもそうか。だとすると、男子の……。いや、しかし、女子がメインの部に、そこまで寄付するのは考えにくいね」


 理央くんはあごに手をやり、しばらく考えこんだあと、口を開いた。


「……となると、OGが大人になって、自らお金持ちになって、寄付してるパターンかな?」


 結局、結論は出ないまま、わたしたちは別れた。


     * * *


「やっぱり同じだ……」


 家に帰るなり、わたしは一目散に自分の部屋に駆けこんで、引き出しの奥から一枚のハンカチを取り出した。

 ミレーヌに返しそびれたままのハンカチ――。

 きれいに洗濯して、折りたたんで大切に仕舞いこんでいたんだ。

 刺繍されている紋章は、たしかに『お嬢さま部』の部室の柱時計に彫りこまれていたものと同じ。ミレーヌが、『お嬢さま部』と何らかの関係があることは間違いない。

 う~ん、何とかして調べたいけれど……。

 入部テストは不合格だったし、部室のある旧校舎に立ち入ることもできないもんなぁ。