「ああ、ご心配なさらず。『お嬢さま部』の関係者だけは利用が認められておりますので。この旧校舎すべてが、『お嬢さま部』のための施設になっております。いわば専用の部室棟というべきでしょうか」


 雪平先輩の説明に驚いて、わたしは理央くんと顔を見合わせた。

 そんな特権が与えられてるなんて、『お嬢さま部』って、どういう部なの!?

 ますます謎の存在だよ。


「ただ、我々も予算の範囲内で活動しているものですから、電気代の節約を心がけております。普段よく使う四階以外は、電気を使いません」

 なるほど。お嬢さま部といえど、贅沢ざんまいとはいかないんだなぁ。

 そして、窓から差しこむ光を頼りに階段をのぼっていき、最上階の四階に到着。

 四階は全体的に明かりがついていて、ざわざわと、人の話し声と気配がしたから、わたしはようやく、ほっと息をついた。


「奥がテスト会場でございます」


 雪平先輩は、長い廊下の突き当たりまで進んで止まった。

 そこは音楽室で、前に並べられたイスに、二十人ほど生徒が座っている。

 ほとんとが女子だ。

 視線がわたしたちに向けられ、ちょっとたじろいでしまった。


「どうぞ、お掛けになって、お待ちくださいませ」


 雪平先輩に指し示されたイスに、わたしは理央くんと横並びで座った。