「内容……!肝心の内容は……!?」
クラスメイトの頭と頭の間をぬって、
必死にお知らせの内容を覗き見る。
[生徒会にて集約した要望・意見をもとに、検討と協議を重ね、次年度から一部の校則を、下記のとおり改則または廃止いたします。
適用は4月1日からですので、注意してください。
また、これに伴い、生徒手帳も新調されます。]
ええ……!
そっかぁ……生徒手帳……。
使い込んで、愛着があるのに……。
って、今それどころじゃない。
大事なのは、その下の記述だ。
[◾️以下〈改則〉されるもの
・(改則前)体操服・ジャージで登下校禁止
・(改則後)原則体操服・ジャージで登下校禁止、ただし部活動で着用する場合に限り下校時は可とする
・(改則前)靴下の長さ・・・くるぶしより6cm以上、すねより下で着用
・(改則後)靴下の長さ・・・くるぶしが見えない長さで着用
・(改則前)制服のスカートの長さ・・・膝下5cmで着用
・(改則後)制服のスカートの長さ・・・膝丈〜膝下5cmの間で着用
※ 改則前後とも、スカート含む制服の変形や改造は禁止
◾️以下〈廃止〉されるもの
・校内校外を問わず、男女交際の禁止
※ただし、節度ある学生生活を心がけること]
『以上』………か。
…………。
……なーんだ!大きな影響はなさそう。
靴下変えたいとか、ジャージで登下校したいとか、
思ったことないし。
というか、朝からこんな騒ぎになるなんて、
みんなも校則に対して関心があるんだな。
私だけじゃないんだ。ちょっと嬉しい。
「よかったあ。
別に今まで通りで大丈夫じゃない?
凛があまりにも慌てるから、ものすごく変わるのかと……
あっ、でもスカート履く時、定規が要らなくなるから、ちょっと楽になるかもね?」
「いや、そんなん今ですら誰も使ってないから!
そうじゃなくて!下んとこ!ちゃんとみた!?」
「下って……廃止?」
「そう!!!」
「うん、みたよ?
『節度』とか曖昧なルールはやめて欲しかったなぁとは思うけど。」
「はあ…」
凛が肩を落としながら、大袈裟にため息をつく。
「あのねぇ………。
これを見て、そんなおかしなこと言ってるの、栞だけだよ??
普通は一番に気にすんの!!」
「えぇ…?!」
……なんだ、そうか。
みんながこんなに騒いでるのって、そのおかげか。
確かに、これまで抗議する人もいたって言うもんな…。
「んもー…。言っとくけどね、栞。
『これまで通り』なんて悠長に言ってると、絶対置いてかれるよ!?
間違いなく、周りは変わってくんだから!
もちろん、アタシしかり。」
「ええ!!…そんな、嘘だよね…?」
「嘘じゃない。4月から覚悟なさい!」
「な、なんか悪役みたいだよ、それ……」
「まあ。とにかく。
栞は、ただ向き合えばいいのよ。
これから起きることにさ。」
「これから起きること?ってなに?」
「多分、その時が来たらわかる。さすがに。
…あ!栞の周りで何らかの変化があったら、絶対アタシに報告してよね」
「ええ……?
別に、私の周りは何も変わらないと思うけど…」
というか、あんまり変わってほしくないんだけどな。
対応力ないし、私。