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クリスマス、お正月と、
楽しい高校2年生の冬休みは
あっという間に過ぎていき、始業式の朝を迎えた。
にしても…
今日は懐かしい夢を見たな。
あの夏の日の夢。
私はいつも通り、
校則に沿った、完璧な身支度をする。
そしていつも通り、自宅前で流星を待つ。
しばらくして、隣の家の玄関ドアが開く。
「おはよー、しーちゃん。
まだスカートの丈、測ってはいてんの?」
「…[まだ]って。期間限定とかじゃないから。
っていうか、毎回毎回言ってるけどっ……!
「はい、コレでしょ」
当たり前のように、
取り外された校章とネクタイを差し出してくる。
「………ねえ。
私が大事にすることは、
大事にしてくれるんじゃなかったの!?」
「へぇ。よく覚えてんね。
大事にしてるから、コレ持ってきてるんじゃん。えらくね?」
「えらくない!普通につけてきて!」
「それはデキナイ」
「なんでよ!!」
…あの日に比べて、
流星の憎たらしさが増してる気がする。
つい流星との口喧嘩が長引いてしまい、
いつもより少し遅れて校内へ。
校則の時間には十分間に合うから大丈夫だけど。
………ん?
教室に向かうために廊下を歩いていると、
なんとなく、違和感を感じる。
どこのクラスも、ザワザワしている。
うちの学年、こんなに騒がしかったっけ?
それは、
2年3組も例外ではなく……
教室に入るとまず真っ先に、
黒板の前に人だかりができているのに気づく。
その中には、凛の姿も。
「おはよう凛、何かあったの?」
「し、し、し…栞!!!大変なの!
これ!早く見て!!!はやく!!!!」
凛は大慌てで、
黒板に張り出された白い紙を指さしている。
「なにをそんな慌てて…あと声大きいよ」
「いーから、は・や・く!!」
「…はいはい」
えーっと、なになに…。
[次年度からの校則変更に係るお知らせ]……か。
ふーん…
次年度から、ね……
次年度からの………
「こ、こ、こ………校則変更!!!!??」
「いや、栞が一番声デカいって」
これは確かに……
間違いなく、一大事だ……!!!!