「…………はぁ」

呆れ顔の流星が、盛大なため息をついた。


「な、なによ」


「……しーちゃんを守んのは、
規則なんかじゃねーよ。ばか」


そしてポソっと、何かをつぶやいた。


よく聞こえなかったけど……


「ねえ、いまバカっていった!?」


悪口を言われてるのだけはわかったぞ!


「言った。マジ不器用すぎだし。
ルールなんて、そりゃ守れる方がいーに決まってんじゃん。
けどさぁ……

あー…。まあ、もう勝手にしたらいーけど」


「なっ………なにそれ!?
私なりに、真剣に考えてるのに!
流星に言われなくても、勝手にするよ!」


人が傷心中の時に、なんてことを言うんだ!
流星は、わかってくれると思ってたのに!!


くそー…
悲しくて悔しくて、また涙が出そうだ。


「うん。もう、好きにすればいーよ。

しーちゃんが何しよーと、
オレは、それに付き合うだけだから」


「…………へ?」


「だから。

しーちゃんが大事にするもんは、
オレも大事にするっていってんの」


私の大事なものは、流星も……?


って。
なにその、どこかのガキ大将みたいなセリフ。
言ってる意味は、全然違うけど。


でも……そっか。

私、1人じゃないんだ。


「……ふ……ふふふ………」

「……ナニ。さっきまで怒ってたのに」

「いや………うれしいなって…ふふふ」

「笑い方こえー」

「なっ!ひどい!!!」


…あれ。
いつものやりとりなのに、なんでだろ。
安心する。


さっきまで私の中にあった、
憎しみにかわっちゃいそうなほどの怒りも、
どこかにいってしまった。


「……ねえ、流星」

「ん」

「……これから、私のことみててくれる?」


「はあ?

……当たり前じゃん。
一緒にいるし。これからも。

てか、しーちゃんみたいな頑固なヤツ、
オレ以外にはムリ」


「もう!!…………でも、ありがと」