「どこにつけよ…。絶対なくしたないし……」

真澄くんは、自分のカバンから筆箱や、財布やらを取り出して、取り付け場所を吟味している。


「そや、家の鍵にしよ」

どうやら真澄クマの定住先が決まったみたいだ。
るんるんで取り付けている。


「ふっ…あはは、
そんなに喜んでくれるとは思わなかった。
可愛いのが好きなの?」


「や、可愛いのがというか…
「あ、ちなみに流星は、スマホにつけてたよ」


「え」


真澄くんの動きがピタと止まる。
割と見る光景だから、ちょっと慣れてきた。



「……アイツにもあげたんですか?」


「うん。
…………あ!そっか、そうだよね。
大丈夫、お揃いじゃないよ!
デザインは違うから安心して?」

「…………」


あれ。
さっきまで嬉しそうだったのに、
なんか、今にも死んでしまいそうな顔をしている。


そんな嫌だったか。
一緒のキーホルダー……。


「…ご、ごめん。配慮ができてなかった。
デザイン違っても、男の子同士で似たようなキーホルダーって……
なんか嫌か。ごめんね」

「や、そーいうことやなく!」


急に、彼の言葉が止まる。
そして無言のまま、じっと私を見つめている。


「…?」


なんだか、沈黙が怖い。
けど、かける言葉はみつからない。


吸い込まれそうな、黒い瞳。
その真ん中に、私が映っている。



真澄くん、今何考えてるんだろう。