「あの…一応これ…お土産」

私は、流星の反応で抱えた不安を拭えないまま、
持ってきたお土産入りの紙袋を差し出す。


受け取る真澄くんの目は、対照的にキラキラと輝いている。
まだ中身を見ていないのに。


「…開けても、ええですか?」

「う、うん…その…期待に添える物かはわからないけど…
っていうか、事前にリクエスト聞けばよかった…ごめんね」

「や、なんでも嬉しいんで。ほんまに」

「………そう?」


真澄くんが、手渡した紙袋を開く。

まず真っ先に目につくのは、お菓子の箱だろう。
有名な、チョコレートがかかったポテトチップス。
甘×塩の組み合わせが、やみつきになる。


「これ……最高においしいやつやないですか!」

「あ、真澄くんも好き?」

「めっちゃ好きです!!ありがとうございます!」

「よかった」

うん。やっぱり外れないな。
もちろん、こっちの方には、なんの不安もない。


問題は……

「…あ、もう一個、ちっさい袋…
…これもですか?」

「う、うん。あの、そう…使わなければ全然…
捨て…るのは可哀想だから、私がもらっても…」

ごにょごにょと保身に走る私をよそに、
小袋を開ける真澄くん。


「え……っと……これは……クマ……?」


「う、うん…あの……サッカーボール持ってて……
真澄くんが浮かんで……だから………

……ご、ごめん。なんか子供っぽいよね………」


「……………」


真澄くんは、
自分の手のひらに置いたクマを見つめ、
そのまま無言で動かなくなってしまった。


…ああ。やっぱり。

流星の反応をみて、渡すのをやめときゃよかった。

堂々と要らないって言うわけにもいかないだろうし…
きっと困らせてるに違いない。


「………あ、あの、もし、いらなかったら…
「…です」

「えっ?」


「死ぬほど嬉しいです」

「……しっ、しぬほど………???」


わざと盛り立ててくれてくれているのかな、
と思って真澄くんを見たけど、
その顔は真剣そのもの。


「俺、墓場までコイツと一緒にいきます」

「えっ」

…本気で言っているのだろうか。
彼の様子からは、笑かそうとか、
そういう雰囲気は感じられない。


真澄くんって、たまに大袈裟なところあるな。