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北海道は広い。
どこに行っても楽しい。
そして食べ物は全部美味しい。


(田中 栞)たち2年生は、
2泊3日の修学旅行を満喫した。


特に、前々から楽しみにしていた小樽が最高だった。
レトロな小樽運河の風景、
いろいろな美術館、繊細なガラス細工やオルゴールなど…

どこを見ても素敵で、芸術に溢れていて、とても良い刺激となった。
本当に来れてよかった。


まだまだ観光し足りないけど…
あっという間に時間が過ぎ、今は帰りの飛行機を待っている。


「ほら…やっぱりさ、栞が一番すごいよ。
その、お土産の量」

「はは…そうみたいだね…」

私の両腕には、パンパンになった紙袋3つ分のお土産が。
貯めていたお小遣いもつぎ込んで、ついつい大量買いしてしまった。


「だって楽しくて…
この幸せを1つでも多く持って帰りたかったから…」

「んもー可愛い理由っ」

「わっ!バランスがっ!」

凛に抱きつかれ、
大量のお土産と自分の荷物を待つために保っていた均衡が崩れそうになる。


「そんないっぱい、誰にあげるの?家族とか自分用?」

「うん、もちろん家族のも自分用のもあるよ。
えーっと、親戚と…あとは流星一家と……
あ、あと真澄くんにも」

「純くんに?どうやって渡すの?」

「え?どうやってって……」


………あ。


非日常な生活が続いていて忘れかけてたけど、
普段の学校内では、他学年の子となかなか会わないんだった。


流星に渡す?でも嫌がるか……


……いや、違う違う。
そもそも【学校生活に不必要な物は持ってきてはいけない】、だった。
だから出発前の私は、部活の後輩にお土産渡せないことを悲しんだんだった。


そんな初歩的なことも頭になかったなんて、
完全に気が緩んでいる。


「…考えてなかった。どうしよう」

「ええ…珍しいね。もう自分のにしたら?」


うーん。


先日の南条祭で、お世話になったお礼も兼ねて、
真澄くんへのお土産に選んだのは、
有名店のチョコレート菓子。

それと…

ご当地限定のキーホルダー。
愛らしいクマのキャラクターが、サッカーボールを抱えて座っている。


一目見たとき真澄くんっぽいって感じて、
衝動的に買っちゃったんだよね。


お菓子はいいとしても…
これは私には使えないからなぁ。


悩んでる私を見て…凛がニヤリと笑う。


「そんなに渡したいなら、もう学校外しかないんじゃない?とりあえず連絡してみれば?」

「うーん。それしかないか…」


…凛のこの笑顔、なんか邪推しているような気もするけど。