2人を置いて、私は進んだ。
横も上も下も見ず、ただただ、前へと。
途中で分岐路があった気もするけど、
暗かったし、怖かったし、何も考えられなかった。
そうしてたどり着いた先は……
進める道がない、行き止まりだった。
引き返さなきゃ行けない…でも…。
後ろには、たくさんの人形がこっちを向いている。
それに、あの怖い顔のエンマさまもいる。
引き返す勇気が出ない。
何もかもから身を隠すように、
できるだけ体を小さくしゃがませ、
耳を塞ぎ、顔を埋めた。
その時、私は思い出していた。
小さい頃に、歯医者さんの待合室で読んだ、怖い絵本を。
どんなストーリーだったかは曖昧だけど、
絵本の中の友達が、大きな口の人に食べられちゃう話だった。
その絵が、とにかく怖くて怖くて。
その後の施術で、
今度は私が大きく口を開ける番になって。
「まって!友達を食べちゃう!!」って大泣きして、
大人を困らせた記憶がある。
今思うと、その出来事がトラウマになってるんだな。
早く戻らなきゃって思うのに…
足がすくんで動かない。
こんな自分が、情けないし、恥ずかしい。
あ、ちょっと涙が……