通路には、考えただけでも恐ろしいような、
悲惨な光景がいくつも演出されている。

大きな釜で茹でられて苦しんでいる人。
高いところから突き落とされそうになっている人。
炎に飲み込まれそうになっている人…。

演出に合わせた、うめき声まで聞こえてくる。


怖さに耐えながら、なんとか頑張って歩みを進めると、
少し広めのスペースに出た。


辺りは、木枠で囲われた牢となっており、
その中に、数体の青白い肌の人型人形が入っている…。


彼らは、こちらに助けを求めるかのように、
叫び顔で、枠の間から懸命に手を伸ばしている。

に、人形……だよね?


その手に触れると、
連れ込まれそうな気がして近寄れない。


…そんな私をよそに男性陣は。

「おー、今にも動きそー」
「めっちゃリアル」

まじまじと人形を見つめている。
恐怖って感情ないのかな?


ギッ…

ーーいきなり後方から、床の軋む音が聞こえた。


ギッ…ギッ……

その音は次第に大きく、速くなる。


ギッ、ギッ、ギッ!


ついに音が間近に聞こえ、
背後の、たった今通ってきた道の方向から、
何かが現れた気配がした。


恐る恐る振り向くと……


大きな身長、伸びたヒゲに、赤い肌。

これでもか!というくらい見開いた目。

今にも襲いかってくる勢いで、長い爪を立て…

大きな大きな口を開けた、エンマさま、が………


「オ マ エ ラ カ…!!」


「い、いや………いやあぁああぁあぁ」


「しーちゃん!」
「栞さん!?」