その後、思い当たる人物について考えてみたが、
私は、流星の学校での交友関係を、よく把握出来ていないことに気づいた。


うーん。凛は知ってるのかな?
あとで聞いてみようかな…

いや、この手の話題は、本人の承諾なしに、勝手に話しちゃ良くないのか…。


考えても仕方がないので、大人しく目的地に向かうことにした。


臨時資材置き場につくと…
しゃがんで、何かを探してる人影があった。


「…ん?真澄くん?」

人影がビクッとして、立ち上がってこっちを向いた。
やっぱり真澄くんだった。


…なんだか、よくこんなことが起こる気がする。


なぜだか、チラッと、
この間のファミリーレストランでの出来事を思い出して、自分の手首が気になった。


「あ、え、えと。栞さん、こんにちは」

「こんにちは。
…歓迎会の日から話すの、はじめてだね。会わないもんだね」

「そうっスね…」


「何か探してるの?」

「あ、はい。黒ペンキ探してこい言われたんすけど…」


さまざまな色のペンキが置いてあるけど…
うーん、確かに黒は見当たらないな。


「黒なら、うちのクラスに余ってたと思うよ?持ってこようか?」

「い、いや、そんな!!重いんで!俺がいきます!」


普段は、申請なしで他学年フロアや他教室に立ち入ることを禁じられているが、
南条祭の準備期間中は、このような連携が必要になることから、特別に許可されている。


そのため私たちは、一緒に2年3組へ向かうことにした。

優しい真澄くんは、
断ったけど「いや俺が」と、私のダンボールを全部持ってくれた。