一方、真澄&凛チームはというと…
「あー!純くんごめん!1本残っちゃった!」
「…大丈夫、ヨユーっす」
残った1本のピンめがけて、
まっすぐ進んでいく、3個穴のあいている球体。
本当に私の使用している物と同じなのだろうか。
パコーンと、良い音が鳴り響く。
「はいーーナイス!純くんやるね!!」
「笠井先輩こそ、上手っすね」
そして、2人の手のひらが、パチンとはじきあう。
そんな彼らのスコア表には、
[8 |◀︎]、[5|◀︎]、[9|◀︎]……。
あれ??[ ▶︎◀︎]なんてのもあるけど………!?
よし。私も見よう見まねで…!
「しーちゃん、体歪んでる。手首の方向も」
流星が真後ろで、私の肩や手を掴んで、向きを矯正してくれる。
「歪むなって、ネクタイのときはあんなうっさいのに」
「うっ、うるさいなぁ…じゃあこのまま投げてみるね」
「力いれすぎないでね」
流星のアドバイス通り投げると……
パコン、と当たった!
……2本。
「…やった、やったー!
流星みた!?当たったよ!!」
たった2本でも当たったことが嬉しい。
流星は、優しい笑みを浮かべて「やるじゃん」と言い、スッと自分の顔の横にあげた手のひらを私に向けた。
お互いの手のひらを合わせ、はじく。
わあー、気分いいな。2本だけど。
「栞さん、俺も見てました。やりましたね」
真澄くんも、私に手のひらを向けてくれている。
「ありがとー!」
ハイタッチしにいこうとする私の手は、
後ろから流星に握られ、止められた。
「別チームでしょ。おさわり禁止」
「へぇ、そんなんもアカンって、えらい窮屈。
幼馴染ってのも、案外余裕ないねんな」
「…ナニ。おまえ。急に出てきてちょっかい出すんじゃねーよ」
「そっちかて、付き合ってもないのに近いねん」
なんか急に喧嘩がはじまった!
2本倒しただけなのに!
凛は…!
…だめだ、ニヤニヤしてるばかりで頼りにならない。
「ほ、ほら、つぎ!流星の番だよ」
重たいボールを流星に渡すことで、
この場から強制的に退散させる。
はあ。薄々気づいてたけど…
もしかして、この2人…………!
…馬が合わないというか、犬猿の仲、ってやつなのかな?
仲良くなるのは無理かもしれない。