果たしてモテるのは可哀そうなことなのだろうか。

……なんて疑問はさておき。


その名前で、ふと数十分前に聞いたクラスのお嬢様方の会話が蘇ってきた。


『わたしは加賀見先輩が一番だと思うの。かっこいい上あの加賀見家の跡取りなんて……』


この学校の男子で誰が一番魅力的かという話題で、誰かがこう言っていた。


なるほど。この先輩はこの学校に通うセレブたちをして尊敬の念を抱かせるようなすごいお方らしい。


そりゃあ私みたいな「誰これ?」という反応されたら首をかしげたくもなる。




「そうですか。まあそういう人なら専属のお医者さんとかもいるでしょうし、私が心配することでもないんでしょうね。じゃあ、後はお任せします」




相変わらず先生からの追い払いたいオーラがすごいので、私は加賀見先輩が意識を取り戻す瞬間に立ち会うのは諦めることにした。

よく考えたら、ここに居座ってても勉強する時間が減るだけだし。