声をひそめてはいるものの、そこそこ圧があったのだろう。
加賀見先輩はちょっと驚いた顔をしながら立ち上がった。
そして、ドアが開いたその瞬間二人でさっと電車を降りる。
後ろから「あー、行っちゃった……」という心から残念そうな声が聞こえてきた。
「あー焦った~!」
「悪い、また俺のせいで……」
「いやいや、電車乗ろうって言ったの私ですから。すいてれば大丈夫だろうと甘く見てました。女性専用車両みたいに、男しか乗れない男性専用車両があったら良かったんですけどね」
私は大きくため息をつきながらぼやいた。
加賀見先輩を見てるとある程度需要があるような気がしてくる。いやまあ、先輩は普段電車使わないんだけども。
でも、そんな私のぼやきを聞いた加賀見先輩は何やら怪訝そうな顔をした。