「高校生なんだから、レストランはレストランでもファミレスで十分でしょう」
「ファミリーレストランか……行ったことないな。家族と一緒でなくても入って良い店なのか?」
「おおう、そこからですか」
やっぱこう……浮世離れしてるな、御曹司ってやつは。
私はつい声を出して笑ってしまった。
「あははっ。心配しなくても、誰でも気軽に美味しいご飯を食べられるのがファミレスの魅力ですから」
「そ、そうか」
「よし。じゃあ今日は、私が先輩に庶民的な遊び場に案内してあげようじゃないですか」
勉強もたまには休んだっていいだろう。普段からここで自習しているおかげで、順調に成績も上がってることだし。
荷物をまとめ始めた私を見て、加賀見先輩はぱっと表情を明るくした。
「そうか! では早速迎えを呼ぼう!」
「何言ってるんですか。そこは公共交通機関でしょ。電車! バス!」