他にゆっくり参考書を広げられそうな場所……
そうだ。今日は天気が良いし、外でもいいかもしれない。
この学校の広大な庭園には、各所にベンチとガーデンテーブルが設置されている。
さすがにどこか人がいないところがあるだろうし、もし近くで誰かがしゃべっていたとしても、外だったら部屋の中ほど気にならないよね。我ながら名案。
些細なことで自分を褒めるなどしつつ、私はとりあえず場所を把握しているベンチへと向かう。
ある程度日影になっているところだとなお良いなあと思いながらたどり着いたのは、特別教室棟裏手の場所だった。
「良いじゃん良いじゃん。ここなら集中できそう」
校舎内に、座り心地の良い椅子の置かれた空調の効いた部屋がいくらでもあるのだから、こういう場所が不人気なのは当然といえば当然。
私は意気揚々と鞄を下ろして勉強道具を広げはじめる。
──おかしなものが視界の端に入ったのは、そんなときだった。