私、川咲(かわさき)瀬那(せな)は、そんな学校にわずかしかいない貴重など庶民である。




「確かに、加賀見先輩は女性嫌いって噂もあるものね。その点、天ヶ瀬先輩はまさにジェントルマンって感じで」


「本当本当。でもどちらも素敵よね」




一度気になりだしてしまうと、クラスメイトの声はどんどん頭に入ってきて、もう全く集中できそうにない。

私はこっそりため息をついて、皆に気付かれないように教室を出た。



特待生枠で、高校からこの学校に編入して2ヶ月。



特待生は学費がかなり減額され、一般的な公立高校並の価格で、最高の設備の中最高の教師陣による教育が受けられる。

ネームバリューのある学校だから、卒業すれば将来就職にも有利。さらに、ここでセレブたちとの人脈が広げられたらイージーモードの人生が待っている。


……なんて中学の先生には力説されたけど、正直言ってもう既にくじけそう。