「なあ、あんた……女装した男だったり……しないか?」
……。
「はあ!?」
ななな、何かすっごい失礼なこと言われたんだが!?
私は制服に付いた土を払いながら、懸命に怒りを抑え込んで答える。
「い、一応、生まれてからずっと女ですけど!」
「あ、そうだよな。混乱して……悪い」
何かの冗談のつもりだったのだろうか。加賀見先輩は眉間を押さえつつ謝る。
そして恐る恐る目を開きながらまた言う。
「じゃあ、その感じで実は60歳ぐらいだったりとか……」
「まだ全然15歳だわ! 半年後にようやく16だっ!」
いかんいかん、先輩相手にタメ口で叫んでしまった。
だけど、これは私悪くないと思う。
中学のときから、友達にはちょっと老けて見えると言われたりしたけど、それでもせいぜい三つ四つ上に見えるという意味だった。どこからどう見ても60歳には見えないはずだ。
……見えないよね? 見えないって言ってください。