同じ学校に通う男子の中で、一番かっこいいと思うのは誰か。



この話題は大金持ちのお嬢様たちであっても、庶民の女子たち同様に大変盛り上がるネタらしい。




「わたしは加賀見(かがみ)先輩が一番だと思うの。かっこいい上あの加賀見家の跡取りなんて……」


「わかる。だけど加賀見先輩は完璧で人を寄せ付けないところがあるでしょう? わたしはそのご友人の天ヶ瀬先輩派ね」




聞こうとしなくても勝手に耳に届いてくる、憧れの男子について語り合う女子たちのうっとりとした声。

お嬢様方の場合だと、本人の能力値の他にその男子の家柄も比較の対象に入ってくるので、その分庶民女子たちよりちょっと生々しい感じがする。


まあどちらにせよ、テスト前の貴重な自習時間をそんな話題で費やせるなんて気楽なものだ。

私は教師の言葉を一言も聞き漏らすまいとして必死に作り上げた自習ノートを睨みつけながらそんなことを思う。



ここは、小中高大一貫の私立星彩学園。


大金持ちの子息令嬢ばかりが集う、超名門私立学校。