知ってた。彼が浮気してることなんて。知ってたよ。 だって、この前、涼太が学年一可愛いって言われてる、玲那(れな)ちゃんとキスしてるところ、みちゃったんだもん。 私には一度もしてくれなかったくせに──。 「わかった。別れよう」 全然堪えてない、と強気を装う。 けれど、私があまりにも簡単に答えを出したからだろうか。 少し目を見開いて、驚いたような表情を見せた。 それから彼は、一粒、涙を流した。