よくテレビで「宝石みたい」「絵画みたい」と言う芸能人がいるけれど大袈裟だなって思っていました、ごめんなさい!
 本当です。芸術です。

「タラのポワレでございます」
 ポワレって何?
 タラとスナップえんどう、じゃがいも、えのきにレモンが添えてあって綺麗ですけど、ポワレって?
 美味しいけれど!

 桃のシャーベットに練乳って合うんだ。
 さっぱりしているのに甘くておいしい。

 初めて見るキラキラのコース料理に夢中で、美沙は目の前のイケメンが笑いながら見ていることに気づいていなかった。

「桃は気に入ったか?」
「お、おいしい……です」
 恥ずかしすぎる!

「あの、彰様。今日はどうして、ドレスも、食事も……」
 夜景をバックにワインを飲む姿が似合いすぎて、目のやり場がない。

「歓迎会、だな。統括室に来た」
 彰の予想外の言葉に美沙は思わず笑ってしまった。

「それなら夏目さんも呼ばないと」
「もう一人、普段姿を見せない奴がいる」
 統括室には席がもうひとつあったけれど、あそこにも人がいたんだ。

「あとは美沙に話があった」
 彰はワイングラスを置くと、テーブルの上で両手を組む。

「俺の恋人になってほしい」
 真剣な顔でおかしいことを言い出した彰に美沙は首を傾げた。