テレビで見た通りの美しい夜景とテーブルに飾られた花。
 そして目の前にはイケメン御曹司。

 ……夢かな?

「食べられないものは?」
「特にないですが、辛い物は少し苦手です」
 あ、普通の辛さは食べられますと美沙は手を軽く左右にフリフリした。

「ワインは?」
「お酒は弱いので、あまり……」
「そうか」
 彰が目を合わせるだけで、黒服さんはお辞儀をして去って行く。

 メニューとか何もないんですか?
 ご注文は? とか聞かないんですか?

 グラスが準備され、注がれるのはシャンパン?

「カルテット・アンダーソン・ヴァレー ブリュットでございます」
 言われてもわかりません!

「スパークリングワインだが、酔いやすいから無理しなくていい」
「は、はい。いただきます」
 シャンパンとスパークリングワインって違うの?
 
 一口飲んだ美沙はほんのり酸っぱい味に驚いた。
 でもおいしい。
 でも高そう。
 いや、高そうじゃなくて高いに決まっている。

 料理はオードブル、スープから始まるコース料理。
 マナーなんてわからないんですけど!

「気にせず食べればいい」
「はい」
 正直、美味しすぎて美味しさがわかりません~!