異世界転生婚約破棄ものなら、前世で数え切れないほど読んで来たから、そんな私はここで生還ルートを間違いなく選ベるわ。

 ハッピーエンドルートへの初手は、間違いなくこれよ。

「……はい。わかりました」

 婚約者に婚約破棄された私は、とりあえずここは大きく頷き、抗議することもなく、すんなりと了承することにした。

「レティシア……?」

 壇上の王子様は婚約破棄された私の反応を見て、どうしたのかと言わんばかりに不思議そう。

 ……ええ。王子様は自分に婚約破棄された私が、ここで何か言い訳などすると思っていたことでしょう。

 言い逃れようと醜く騒ぐとか……はたまた、悪事は私の仕業ではないと、断罪されるとわかっていて、準備していた証拠を並べたりなど。

 そんな良くある反応を示さずに、さぞ不思議だと思います。ええ。無理もないです。断罪されている私本人だって、そう思いますからね。

 けど、私はさっき、前世の記憶取り戻したところで、婚約破棄されるような悪行の経緯を説明して、何か弁明しようにも自分が何して婚約破棄されたかわからないから、こうするしかないんですー!