その時に、偶然、窓を覗いていた私には、私たちの乗った天馬が引く馬車を見上げる人たちが見えた。
あれは、リアム殿下と……黒髪の少女? あれが、異世界から来た聖女ヒロイン。
「あ……」
「レティシア。どうかしましたか?」
彼らが見えなくなるまで窓を見ていた私に、隣に座っていたヴィクトルは何が起こったのかと声を掛けて来た。
「リアム殿下が少女と一緒に、こちらを見ていて」
距離があって彼らの表情は窺えないけど、まばゆく闇を弾く特徴的な金髪は、きっとあの王子様だと思う。
さっき婚約破棄された王子様だけど、もう外見が良過ぎて、乙女ゲームで言うところのメインヒーローでしかない。
けど、私はもう、リアム殿下には既に嫌われてしまっているけどね。悪役令嬢だし、仕方ないけど。
「今夜を境に君にはもう、何の関係もない人たちですよ。この後は、二人で幸せに暮らすでしょう」
「そう。そうですね……」
ヴィクトルが私の上にふかふかの毛布を掛けて、そういえば私は、二の腕剥き出しのドレス姿のままだった。
今更になって思う。私さっき、王子様に婚約破棄されたんだって。
あれは、リアム殿下と……黒髪の少女? あれが、異世界から来た聖女ヒロイン。
「あ……」
「レティシア。どうかしましたか?」
彼らが見えなくなるまで窓を見ていた私に、隣に座っていたヴィクトルは何が起こったのかと声を掛けて来た。
「リアム殿下が少女と一緒に、こちらを見ていて」
距離があって彼らの表情は窺えないけど、まばゆく闇を弾く特徴的な金髪は、きっとあの王子様だと思う。
さっき婚約破棄された王子様だけど、もう外見が良過ぎて、乙女ゲームで言うところのメインヒーローでしかない。
けど、私はもう、リアム殿下には既に嫌われてしまっているけどね。悪役令嬢だし、仕方ないけど。
「今夜を境に君にはもう、何の関係もない人たちですよ。この後は、二人で幸せに暮らすでしょう」
「そう。そうですね……」
ヴィクトルが私の上にふかふかの毛布を掛けて、そういえば私は、二の腕剥き出しのドレス姿のままだった。
今更になって思う。私さっき、王子様に婚約破棄されたんだって。