けど、すごい。もしかして、現代日本から来ているのかな? 生きていたのは同じ時代なのか、話してみたい気もする。

「あ。そうです。私が嫌がらせをしてしまった……人です」

 覚えてはいない……けど、悪役令嬢の私と聖女ヒロインの彼女の関係上、しかも婚約者の王子様から婚約破棄されたってことは、それなりの被害を与えたってこと。

 十中八九、彼女には嫌われている。もしくは、可哀想な人と哀れまれている。記憶は無いけど悲しい。

 だから、ここで私たちが顔を合わせてしまうのは、あまり良くないし、そういった意味では、さっきのヴィクトルの対応は適切だったと思う。

 ヒロインは自分を虐めていた悪役令嬢の顔なんて、もう見たくないよね。

「レティシアが、責任を感じる必要はありません。王家には、異常に異世界の聖女の血を神格化している風潮がありますから。リアム殿下もそういった利点に、目が眩んだのでしょう」

「そう……ですね。異世界からの聖女ならば、きっと、この世界の誰にも敵いませんから。だから、諦めのつくような気はします」