つまり、ヴィクトルが私の恋人になり領地に連れて行きたいと言う提案は、前世の記憶取り戻したての悪役令嬢な私に都合良過ぎて、少し怖いまである。

 ええい……女は度胸よ! しかも、騙されても本望なくらい、ヴィクトルは素敵だし!

「そっ……そうしたら、友人からお願いします」

 心の中での気合いとは裏腹に、もごもごと返事した私に、ヴィクトルは頷いて背中を軽く撫でた。

「ありがとうございます。嬉しいです」

「……はい」

 その時、彼が見せた笑顔は本当に嬉しそうで、私も自然と微笑んだ。

 やっ……やったー! これで、断罪された悪役令嬢だけど、素敵な辺境伯と、ハッピーエンドルート開通!