私が言うのもなんだけど、さっき……さっき、私たち会ったところだよ! 恋人になるのなら、もう少しお互いを知ったりした方が良くない?

 私の言わんとしていることなどお見通しなのか、ヴィクトルは片眉を上げて苦笑した。

 はーっ……そういった男くさい顔も眼福です……ありがとうございます。

「……僕は辺境を守る辺境伯で、危険な国境を守るのが仕事です。最近国境沿いにある隣国との緊張が増していて、今夜にでも帰らねばなりません。王都に滞在している時間はないので、レティシアが僕と行くと決めるならば、今すぐが嬉しいです」

 困った表情になったヴィクトルが、早く私に告白せねばと思っていた理由がこれで理解出来た。

「……それで、私に今すぐに恋人にならないかって、聞いたんですね」

 なっ……なるほど! ヴィクトルは今夜領地に帰らないといけないから、ここで私を連れて行きたいって、すぐに告白をしたんだ。

「ええ。特別に陛下に呼び出されていたんです。だから、レティシアを僕の守る辺境デストレへ連れ帰るのも、今夜決めねばなりません」