田舎は、好き好き。大都会東京で生まれ育った私だけど、地方出身の両親の実家には、長い休みがあれば必ず帰っていた。

 のんびりとした別世界に行ったような感覚を味わい、忙しない日常へ戻る時はいつも嫌だった。

 田舎に住めるのなら、それは最高かもしれない。

「レティシア……今なら、僕の恋人になれます。なりませんか」

 それを言ったヴィクトルの目の下は赤く、ひどく緊張しているようだった。

 ……わかる。真剣な愛の告白は、誰だって緊張すると思う……けど、そうよ。私に?

「……え?」

 急展開過ぎて、すぐには脳が理解不能だったけど、これって、ヴィクトルは私に愛の告白しているよね?

 私は少し前に、婚約者に婚約破棄されたばっかりで、間違いなく誰とも付き合っていなくてフリーな状態なので……ここで頷いても、全く問題ない訳で。

「どうか、返事を。レティシア」

「まっ……待ってください。わっ……私で良いんですか……?」

 私がどういうスペックなのか知らないけど、物凄く話が早い。おそらく、絶世の美女なのかもしれない。鏡が早く見たい。

「むしろ、君でないと駄目ですね」