呆然とした王子様と何故か歓声を上げて拍手をした貴族たちに見送られ、両側に居たドアマンが大きく扉を開いて、私たちは夜会を開催していた大広間から出ることになった。

 わー……すっごい。豪華ー! 私たちが居たのは、美しい白亜のお城だった。

 ヴィクトルさんは迷いない足取りで、城の広い廊下を歩いた。足が長い人って、普通に歩いているだけで、こんなにも速度が出てしまうものなの……?

 しかも、彼の身長が高いものだから、私からすると若干ジェットコースターみたいな感覚がある。

「レティシア……大丈夫ですか?」

 考え事をしてぼうっとしていた私は、不意に声を掛けられて慌てて頷いた。

「あ……はい。大丈夫です」

「本当に?」

 ヴィクトルさんの整った顔は息がかかるまで近く、私はもうそれだけで、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかった。

 ……近いー! 近いー! すっごく、格好良いけど!

 美形の問い正し、ときめき過ぎて、一乙女の胸を痛くした罪で完全に有罪だよ……慰謝料を払ってもらいたい。