「そう。
 私と和輝(ともき)が能力者になったのは、
 ちょうど一年くらい前だから」

「今でも思い出すよ。
 あのときは
 本当に危なかったんだからな」

「そうだね。
 和輝の言う通り、
 あれは危なかったね」

「まぁ、確かにさ、
 彩暖(あやの)が咄嗟に動いたのも
 わからないわけではないけどさ」

「あのときは
 無意識に身体が動いたの。
 本当に必死だった」

「だけど、
 今でも思う。
 あのときの彩暖の行動、
 完全に賛成ではないかな」

「和輝がそう思うのも
 わかるよ。
 和輝と私が逆の立場なら、
 私も賛成ではないから」

「だよな。
 彩暖もそう思うだろ」

「うん。
 そう思うよ。
 それで、
 そのときだよね。
 私たちが能力者になったの」

「あぁ。
 能力(それ)がなかったら、
 どうなってたか、わからないぞ。
 まったく恐ろしいことだ」


 やっぱり。

 迫った、危機が。

 そのときに。
 なったんだ、能力者に。
 彩暖ちゃんと新堂くんも。