「恋、ずっと兄妹欲しいって言ってただろう」
にこにこ幸せオーラ全開なお父さん。
温度差違いすぎて疲れてくる。
「言ってたけどさ……」
それ小学生のときだよ……。
「明後日までには荷物まとめておくんだぞ〜」
私のことなんて置いてけぼり。
機嫌よく口笛吹かせて
脱衣所へ向かうお父さん。
そんなお父さんの背中を睨みつけながら
聞こえるように大きくため息をついた。
こっちの気も知らないで……!
.
.
顔合わせの時間は散々だった。
最初から最後までリアルに記憶ない。
春子さん──私のお母さんになる人。
春子さんとは、一度会ったことあったから
顔見知りで。
息子が一人いるって聞いたことはあったけど
春子さんの年齢がお父さんより少し若いから、
てっきり小学生くらいの子どもなんだと思ってたら。
『小宮山 錬です。よろしく』
だって私と同じ制服着た男が
目の前いるんだもん。
ましてやあの、──小宮山 錬だよ。