side ???

「おい!聞いてんのか?!」

"あいつら"との勝負に負け、罰ゲームとして買い出しに行った帰りの途中、あたしはガラの悪い不良に絡まれていた

(あぁ今日はついてないわ)

「あら、ごめんなさい聞いていなかったわ」

「なんだと...?」

あたしが素っ気なく返すと、そんな態度が気に入らなかったのか、その不良が見るからに不機嫌そうになった

「なんだとはこっちのセリフよ。さっき言ったことを
あたしの前でもう一度言ってみなさい。」

(はぁ。早く帰ってまた"あいつら"とゲームがしたいわ)

「あぁん?1回じゃあ聞き取れねぇのか?
ちっ。もう一度だけ言ってやるから聞いとけよ」

そういうとその不良は意気揚々とさっきあたしに言った言葉をまた繰り返した

「俺はな、"あの"有名な暴走族の幹部だぞ?!」


そう言い放つと、その不良は優越感に浸っているのか偉そうな態度で近くにあった百合の花を散らしながらベンチにふんぞり返った



(あぁ、こいつ.....)

あたしはそのあまりにも醜い行為にとても腹が立ったが、怒りを悟られないようにした

すると、どうしてか、どうしようもなく笑えてきてしまった

「ふ、ふふふふふ.........」

「あ?まだ居たのかよ。怖くて動けねぇか?.......
ておい、なんで笑ってんだよ.....。」

不良は、さっきの威勢はどこへやら怯えた顔をしながらこっちを睨んでくる

(どこまでも、馬鹿でみっともなくて、"醜い"のかしら?
こんなバカ、今までどうやって生きてきたのかしら)

「ふふっ、ごめんなさい。
ちょっとね、幹部の中にあなたがいたか思い出していたの
でもね、どんなに頭を捻っても、あなたは見た事が
ないよのね」

「は、はぁ?ふ、普通幹部は顔出さねぇんだから知ってるわけねぇだろ」

どうやらこの馬鹿はあたしの言っていることがそもそも理解出来ていないようだ

(わかりやすいように言ってあげようかしら)


「だ、か、ら、あなたのような人をあたしは"知らない"
って言ってるのよ」


「は?」

「(................)」

あたしは怒りを通り越してもはや呆れてしまった

「.........百合の花は、何よりも美しいものでしょう?」

(それを知らずして何が幹部よ笑わせる)


「何言ってんだ?お前...はっ」

彼はなにかに気がついたもののもう止められない

(あら?意外と知っているのね。でも、遅すぎだわ)

「あたし、美しいものが好きなの。あたしだけじゃなく
"あいつら"も」

不良は全て分かったのか歯をガチガチと言わせながらあたしを信じられないものを見るような目で見てくる

(そりゃそうよね百合を何よりも美しいというのは
あたし"たち"くらいだものね)

それを聞いた不良は顔を青くさせながら逃げるように走っていってしまった


(さてと、くだらないものもいなくなったしさっさと
帰りましょ)





「ただいま」

「「「「おかえり〜」」」」

「ちゃんと俺頼んだの買ってきたんだよな?!」

「あたしを誰だと思ってるの?ちゃんと全員分
買ってきたわよ」

「さっすがアス。サンキュ」

「ありがとう」

「相変わらず2人は仲良いわねラミカ、ルシ 頼むものまで一緒なんて」

「「だって俺ら双子だもん」」

「息までピッタリね」

「にしても、帰ってくるの遅くなかったぁ?」

さっきまでパソコンに向けていた顔を上げレプが聞いてきた

「そうだね。何かあったのなら連絡くれればよかったのに」

そう言って奥のキッチンからあたしの頼んだタルトを持ちながらラスが出てきた

「ありがとうラス、レプ。実はね…」

そうしてラスの作ってくれたタルトを全員で食べながら
あたしはついさっきあったことを話した




「「「「あっははははははは」」」」

「ほぇ〜僕らのフリするような奴ホントにいるんだぁ」

「ホント、笑っちゃうわよね」

「そいつ、運悪いね」

「それな〜なんも知らねぇやつならまだしも
マジモンの幹部に言っちまうとは」

「そいつに正体言った?」

「言ってないわでも、勘づかれたかも」

「ま、話聞く限りそうだろうね、レプ」

「はぁーいもうできてるから大丈夫!」

そういうとレプはいつ立ち上げたのかその不良の情報が入っているパソコンを皆にみせた

「話が早くて助かるよ。それと、エル、ルシ」

「「何〜?」」

「行ってきてくれるか?」

「は?え?マジで言ってんの?」

「...大丈夫?」

「あぁ、言ってなかったけどそいつ、百合の花
踏みつけてたわよ」

「「「「は?」」」」

その瞬間全員の目から静かな殺気が放たれた

(これはまずいかもしれないわ)




「「じゃ、行ってくる」」

そう言ってエルとルシはレプから貰った情報とともにあの不良の元へと向かった


胸元にあの不良の言っていた暴走族の幹部の証である百合のバッチをつけて...