「こうすれば妃奈の幸福度がわかるな」



 愛おしい人をいつくしむような東条君の声。

 心地いい、大好き。

 幸せにいざなわれるように、私はゆっくりと瞳を閉じた。



 荒々しくなんてない。

 ただただ唇同士が触れ合うだけのキス。


 でも、こんなに心が満たされたキスは初めてだ。

 自然と涙がこぼれたのは、東条君に愛されていると実感できたから。
 
 
 
「今のキスでわかった」


「ん?」


「妃奈、俺のこと好きすぎ」



 クククと嬉しそうに笑った東条君に、私は「好き」の二文字が紡げない。


 幸せすぎるキスの余韻で胸がいっぱい、っていうのもあるけれど……


 恥ずかしすぎるんだ。

 膨らんだ幸福感が、私の羞恥心を異常なほどくすぐってくるから。



 燃えそうなほど熱くなっている顔を見られたくなくて、私は東条君の胸に顔面を押しあてる。