「涙甘すぎ。24時間、妃奈を泣かせたくなる」


 とりあえず、説得大事。


 「東条君いったん離れて。とりあえず落ち着こう」


 「俺は冷静だ」


 「よく考えてみて。この先きっと東条君の前に、私以上に甘いケーキが……」


 「現れない」



  えっ? 即答?



 「断言できる、絶対に現れない」


 「そんなことわからないでしょ?」



 私が存在しているってことは、他にもケーキがこの世にいると考えるのが普通だし。

 他人に甘えるのが苦手な私より、守ってあげてくなるようなか弱い女の子の方が東条君に似合うと、学園中みんなが思っていそうだし。



 「これからもっともっと、妃奈の甘さは増していく」


 「なんで言い切れるの?」


 「俺が溺愛し続けるからだ。命を懸けて。いま目の前にいるケーキだけを」


 「目の前にいる……ケーキって……」


 「だから妃奈が死ぬときに、甘さを確認させてほしい。一生かけて俺が妃奈を幸せにできたかどうか、自分のこの舌で確かめたいんだ」